長門由美の恋模様

ありきたりな恋愛小説を書いてみましたが、自分は恋愛の経験がないので無理でした……orz
以下本編です。

―1―

 長門由美は今、とある男子生徒の胸で泣いていた。その内容を説明するには、少し時間を遡る事になる。

 由美はいつものように、下校し17:20の電車に乗って帰宅途中である。彼女の高校は公立であり、それなりの偏差値と学力がある有名な高校である。しかし、家からは電車で行かなければいけない距離だった。
 しかし、比較的に家は駅からたった10分のところにあるので、苦労はなかった。
 ちょうど17:20ぐらいの時間帯はラッシュなので、電車の中はもちろん満員だ。
痴漢にあわないかとビクビクする由美であったが、そんな事は杞憂に終わるはず、だった。
 ――そう、今、由美は痴漢にあっていた。尻を触られていたのだった。
 満員だけあって、どれが誰の手かわからない。下手にこの人にお尻を触られた!と叫んで、違うかったらどうしようという気持ちで由美はいっぱいだった。それ以上に怖くなって声も出せなかった。
 そして、由美のお尻を触っているその手が彼女の下半身に移ろうとした、まさにその時!
 一人の男子生徒がその手を掴み、
「おい、やめろよ。嫌がってるだろ。ていうか犯罪だ。次の駅で降りてもらうぞ」
 そういってその少年改め男子生徒は次の駅で駅員に痴漢にあった子ががいると通報した。

 しばらくして、男子生徒が由美に話かけた。
「おい、大丈夫か? …まぁ、無理もないよな。てか、同じ学校か、奇遇だな」
「…えっと、…その、さっきは、ありがとうございました…」
「ああ、いいよ、別に。…っておい、本当に大丈夫か?」
 そう由美は泣いていた。
 そして冒頭に至る。
 彼の胸にすかり付きながら、彼女は泣いていた。
「……そうだよな。怖かったよな。迷惑かもしれないが、俺が痴漢から守ってやるから、泣くな」
 彼は優しく、そう告げた。
「ありがとう…」
 そうして由美は…彼の言葉に感動し、彼に恋をしてしまったのです。

―2―

 いろいろと警察関係者から話を聞かれ、被害届だの、起訴だの、と言われていた由美と男子生徒ですが、とりあえず警察署に行き、両親に連絡すると、被害届とかはこっちでやるから、休んでいていいよと言われました。
助けてくれた人がいると話すと、じゃあその人に送ってもらいなさいと微笑み声で言われました。
 それから、私は泣き止み、しばらく彼と歩きながら話をしました。
「ちょっと自転車を取りに行ってくる。ここで待っててくれないか?」
「はい、いいですよ」
 一分後。
「そういえば、まだ名前聞いていなかったね。僕は宮野秀明。よろしくね」
「隣のクラスの宮野君なの?」
「そうだよ、1-10だ」
「私は長門由美です。クラスは1-11です。こちらこそ、よろしく」
「改めましてよろしく。結構長門さんって一部の人の間で有名みたいだけど、本人は自覚とかなかったりするのかな」
「え、私って有名なんですか。」
「そりゃ、もう。なんたって一年の美人ランキング5位だからね。一年の男子全員が投票アンケートで決めたみたいだよ。」
「それは全然知らなかったです。ということは私のファンがいるってことですか?」
「たぶん、いるんじゃないかな。何人いるかはわからないけど」
「そうなんだ・・・。よかったら、連絡先交換しませんか?」
「ああ、大丈夫だよ。・・・赤外線通信で交換できるかな?」
 そう言って彼はプロフィールの画面になったケータイを見せてきた
「じゃあ、私の方で受信モードにしますね」
 お互いに連絡先を交換したようだ。
「ありがとう。これでメール送れるね」
「あぁ、そうだな」
 そう秀明は楽しそうに言った。
「そういえば、同じ駅だよね。宮野君はどのくらい前から住んでるの?」
「母によれば、出産予定日の前の週にここに引っ越したとか言っていたから、生まれてからずっとだな。つまり15年ぐらいになるのかな」
「へぇ、そうなんだ。私も生まれてからずっと住んでます」
「僕とあまり変わらないね。どこの中学に行ってたの?」
「私は東中学に言ってました。宮野君はどこなの?」
「僕は北中学に行ってたよ。こっちのほうが近かったからね」
 そうこう歩いているうちに、別れ道に来てしまいました。
「う~ん、どうしようか。なんなら家まで送っていくけど」
「えっ、別にいいですよ。それにもう遅いし…」
「やっぱり、送って行くよ。電話で送ってもらったら?みたいなこと言われてたし、それに女の子を一人で帰らせちゃ、僕の……いや、なんでもない。とにかく家まで送っていくよ」
「いいの!? ありがとう!」
「あ、そうだ。自転車の後ろ、乗るかい?」
 そう彼はごく普通に言いました。
「えっと…。じゃあ、お願い」
 そうして、私は彼の自転車の後部座席に座って家まで送ってもらいました。
「あ、そこ右です」
「了解」
「左です」
 歩いて10分の距離は自転車では5分もかからない距離ではあるが、由美は彼と話している時間が長く感じられた。

 しばらく直進して、由美が言いました。
「もう見えてるけど、あのマンションに住んでいるの」
「一戸建ての普通の家に住んでるかと思ってた」
 マンションに到着し、
「今日は本当にありがとう。また明日学校で」
「男としてするべきことをしたまでだよ。……よかったら明日の朝、迎えに行くけどいいかな?」
「いいの? 迷惑かけるかもしれないけど」
「大丈夫さ。僕がフォローするよ」
「じゃぁ、明日お願いね♪」
「あぁ」

 帰る宮野君に手を振りながら、見送ってから帰宅しました。
 あぁ~宮野君カッコよかったなぁ。……噂に聞いていたけどあんなに童顔だったとは。
 ちょっと、かわいいかも♪
 そんなことを思いながら家の玄関もといマンションに入りました。
 そして、エレベーターで自宅の7階に上り、自宅のドアをくぐり抜けました。
「今日はなんかいろいろなことがあり過ぎて、疲れたぁ~…」
 そういって制服から私服へと着替えました。
「あ、そうだ。宮野君にメールしておこう。メルアドはこっちの教えてないし」
 そういってアドレス帳から、赤外線通信で交換して登録したアドレスを選んでメールしました。

To:宮野秀明< hideaki0510@****.ne.jp >
件名:長門由美です
本文:今日は電車で守ってくれて、しかも家まで送ってくれて、本当にありがとう😊

と、ありきたり(?)な文章で送りました。

続く?